2010年10月26日(火)秋田県総合食品研究センターで開催された「地域コーディネーター人材育成研修(秋田県)」は、約40名の方々にご参加いただき、盛況に終わりました。
研修の参加者は、行政、連携支援機関、大学・研究機関、食品関連事業者、コンサルタント、金融機関の方々など、日頃食農連携のコーディネート業務に携わる方々にお集まりいただき、講義とグループワークによる実践研修を通じた活発な意見交換が行われ、大変有意義な研修の場となりました。
秋田県総合食品研究センター 所長 高野 靖氏
開会の挨拶では、研修参加者がSWOT分析手法を学び、皆様の取り組んでおられる現場で、実際に活用していただくことの期待が述べられました。 さらに、秋田県の色々な立場の方が、秋田県の食材の有効活用に取り組んでいるものの、食品産業の大きな発展にはまだつながってないこと、そこで、秋田県の有する食品産業のポテンシャルをもう一度整理する必要があると考え、現在、平成22年度農山漁村6次産業化対策事業技術促進対策事業により「秋田県地域戦略構想書」の作成に取り組んでいること、今回の実践研修で参加者よりいただくご意見は、この構想書作成のための、貴重な参考資料とさせていただくことの説明が行われました。
講義では、まず本研修の目的として、実践研修で参加者よりいただくご意見を、「秋田県地域戦略構想書」作成の参考資料とさせていただくとともに、農商工連携を進める上で「中核となる人」、すなわち単なるアドバイザーとは異なり、ともに課題解決に取組み、関係する各分野の連携を図り、フォローする「コーディネーター」を育成することの説明が行われました。
さらに、このコーディネーターには、地域における食農の現状及びその地域を取巻く周辺の概況を理解し、戦略的な視点のもと、連携構築の推進に向けた活動が必要であることが、各地域の農商工連携をテーマとした取組みモデルを示しながらわかりやすく説明されました。
その上で、連携を構築し、継続していくためには、先ず関係者による合意形成が行われ、そこから出た地域の有するポテンシャルを活用するために、「いつ・誰が・何をするのか」という具体的な戦略をつくっていくことが重要であること、その戦略構築、合意形成手法の一つとして、SWOT分析があることの説明がなされました。さらに、具体的にSWOT分析を用いた食農連携の戦略構築・合意形成をどのように行うべきかについて、内部環境の強み(S)、弱み(W)、外部環境の機会(O)、脅威(T)の抽出の仕方、各々の項目を関連付けて、戦略に落とし込んでいく方法等が、わかりやすく解説されました。
また、SWOT分析の注意点として、分析に参加する人によって、その人が有する情報の量や種類、あるいはその人の立場等から何を強みや弱み等と捉えるかは異なるため、SWOTの結果が変わってくる可能性があるため、最終的な合意形成を行うまでには、何度もSWOT分析を行い、整理していく必要があることが説明されました。
SWOT分析とは、組織のビジョンや戦略を企画立案する際に利用する現状を分析する手法の一つ。 SWOTは、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の頭文字を取ったもの。主に、企業が経営戦略や経営計画を策定するために、自社の内部環境(経営資源)と外部環境(経営を取り巻く環境)の分析を行う際に活用されてきた手法。
実践研修では、「秋田県の食料産業」をテーマとして、各グループごとに強み(S)、弱み(W)、機会(O)、脅威(T)について話し合い、整理をしました。研修参加者は、常日頃から主に秋田県内でのコーディネート業務に主体的に携わっている方を中心として、食料産業の各分野の方々がいらっしゃいました。秋田県食料産業の主力のひとつである日本酒に焦点を絞った検討を行うグループや、秋田県の食料産業全体の構造や意識に関する検討を行うなど、各グループごとに中身の濃い活発な議論が展開されました。