東京では、コーディネーターの知るべきノウハウのうち、各ステージにおいて必要な要素のいくつかを取り上げ、コーディネーターの持つべき視点や、コーディネーターに必要とされる取り組みを一連の流れとしてご理解いただき、地域において実践していただくことを目的とした全5回の連続研修を開始いたしました。
研修には定員を超える多くの方からお申し込みをいただきましたが、その中から42名の方の連続での受講をお受けさせていただきました。
連続で受講いただく主な参加者は、地域で活躍されるコンサルタントをはじめとし、連携支援機関、公的研究機関、食品関連事業者の方々など、日本全国で食をつうじた地域活性化の取り組みに主体的に携わられている方々です。
2010年10月28日(木)に開催された第一回目の研修では、「連携による食をとおした地域活性化〜SWOT分析等を活用した地域戦略の構築〜」をテーマとし、講義+グループワークによる実践研修を行い、大変盛況に終了いたしました。
社団法人 食品需給研究センター
理事長 西藤 久三
開会の挨拶では、多様化する日本の食料消費に触れ、今後は農業が、単に一次生産を拡大するだけでなく、加工、流通の分野に参画していくことも必要とされていく、このような状況の中で、食と農の連携、あるいは6次産業化に向けた取り組みなど、地域資源を活用し地域活性化に結び付けていく取り組みが各地域で始まっており、非常に大きな位置づけがされていることが述べられました。さらに、今後、地域が連携し活性化を実現するためには、それをコーディネートする人材が不可欠であることから、この東京での連続開催の研修が今後の活動に役立つよう期待しているといった点が述べられました。
講義では、食をとおした地域活性化で重要なものは地域での取り組みを支えているコーディネーターであり、その人達の熱意・行動とともに、その取り組みが戦略的であるかどうか、どのようなビジョンを形成しながら将来的にその地域をどのようにしたいのかということを、地域の関係者全体で議論しながら進めていくものだと説明されました。
さらに、連携構築のためには合意形成による戦略構想をつくっていくことが重要であること、その戦略構築、合意形成手法の一つであるSWOT分析を用いた食農連携の戦略構築・合意形成をどのように行うべきかについて、内部環境の強み(S)、弱み(W)、外部環境の機会(O)、脅威(T)の抽出の仕方、各々の項目を関連付けて、戦略に落とし込んでいく方法等が、わかりやすく解説されました。
※SWOT分析とは、組織のビジョンや戦略を企画立案する際に利用する現状を分析する手法の一つ。 SWOTは、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の頭文字を取ったもの。主に、企業が経営戦略や経営計画を策定するために、自社の内部環境(経営資源)と外部環境(経営を取り巻く環境)の分析を行う際に活用されてきた手法。
実践研修では、食農連携の取り組みを行う3地域(福島県郡山市・埼玉県熊谷市・埼玉県川島町)の市役所や商工会の方をお招きし、1地域2グループ(合計6グループ)に対して各々の地域の活動事例や現状をご紹介いただきました。
(事例紹介者)
その後、地域の事例に対し、グループごとにSWOT分析を活用した地域のポテンシャル抽出と現状整理を行いました。各グループ、各々の地域に対して外部からの視点で食料産業に対するコメントを多く出していただくなど、日頃から地域でコーディネート業務に関わっている方々により、活発な議論が行われました。各地域とも事例提供いただいた方の説明をもとに、関東近郊ならではの交通の便の良し悪しや、観光資源・観光の目玉の不足、可能性を秘める地域のご当地グルメの存在などについての情報が多く挙げられ、それについて強み、弱み、機会、脅威の視点の整理が行われたようです。
実践研修の最後には、各グループでまとめた地域の食料産業に関するSWOTの結果を、グループの代表者が発表しました。外部から見る地域の強み・弱みや課題など、様々な結果が発表されました。