本書は、食品製造業の生産・出荷・在庫の統計と業況判断・企業収益判断等の経済観測指標による結果を業種別に統一的に調査した食品産業の総合的統計書である。
発行日 平成13年10月20日
編集/発行 社団法人 食品需給研究センター
67ページ
定価2,100円(本体2,000円)完売しました。
巻頭言
食品流通研究の刊行に当たって
眞木 秀郎(食品需給研究センター 理事長)
わが国においては、消費生活面で物質的、量的な豊かさを求める段階から、個性、多様性を重視した質的な充実を目指す段階に入っており、これとともに食及び食品産業をめぐる環境も大きく変わろうとしている。
顧みると、食品需給研究センターが食料・食品及び食品産業に関する調査研究機関として発足した1967(昭和42)年は、わが国が開放経済体制への移行に向けて資本取引の自由化に踏み切った年に当たるが、その後の歴史は、わが国の食品産業が、食料消費構造が変化する中で、技術革新、新製品の開発等により急速な成長を遂げた過程でもあった。
このような食品産業をめぐる状況を背景に、当センターにおいては、創立以来、国や地方自治体、関係団体等からの委託を受け、生鮮食料品、加工食品、有機農産物等の生産、流通、消費など、食品に関する川上から川下までの広い分野にわたって、大小様々な調査研究を実施してきたところである。
近年は、これらの調査研究に加えて、新しい時代のニーズに即して、食品の高品質保持、機能性食品素材、リサイクル等に関する食品産業技術開発の支援事業や環境問題にも取り組んできている。
これらの調査研究の成果は、毎年度数多くの報告書にまとめて、国、地方自治体、食品関係団体等に提供し、それぞれの行政施策や事業の企画立案、実施、評価等に供されるとともに、その多くが公表されている。このことによって、当センターはわが国の食品需給の安定と食品産業の発展にいささか寄与することができたのではないか、と自負している。い。
しかしながら、与えられたテーマについて調査研究を行い、結果を顧客に提供することは、調査研究機関にとって重要な業務であるが、その役割がそれに尽きるべきものでないことは、言うまでもない。
当センターが行った調査研究結果を踏まえ、その成果やこれに基づく政策提言等を内外に発信することは、公益法人である調査研究機関として必要であるだけでなく、当センターの設立趣旨に沿う所以でもある。このような趣旨から、今般そのための媒体として「食品流通研究」を刊行することにしたものである。食品産業がグローバル化の激流の中で変革を迫られているとき、可能な限り実証的な分析を通じて、食料・食品の生産、流通、消費の諸課題を解明しようという試みは、意味あることと考えている。
このようなささやかな試みが、消費者の食の改善及び食品産業の一層の発展の一助となることを念願する次第である。皆様方から忌憚のないご意見、ご叱咤を賜れば幸甚である。
調査報告
食品産業の環境会計への取組みに関する一考察(要約)
小野 一弘(食品需給研究センター)
環境会計に最も期待される機能は、環境保全のためのコストや効果が明確になることである。そのことにより、環境対策に要するコストよりも効果(利益)が上回れば、環境会計導入へのインセンティヴとなる。食品産業においては、環境面に加えて健康面も視野に入れた環境会計の作成が望まれる。環境会計はあくまでも手法であり、企業等が環境対策を実施するうえでのひとつのツールである。今後、経済社会の持続可能な発展と経営資源の適正な配賦のために環境会計は有効に機能するだろう。
調査報告
家庭内における最近の牛肉消費について
海和 令子(食品需給研究センター)
我が国における牛肉の消費量は、外食や加工用などの割合が伸びる一方、家庭内消費の割合は減少する傾向となっている。こうした中、牛肉の購入世帯、購入量は、輸入牛肉の増加とともに1990年代の前半にかけて増加したが、その後、口蹄疫やO157などの発生により、いずれも減少傾向となっている。今後、少子高齢化の中で、家庭内の消費はさらに減少し、一方で中食や外食による消費が増加するものとみられる。
調査報告
2000年における食品製造業総産出額推計
−生産額規模と加工品需要のトレンド分析−
野島 直人(食品需給研究センター)
2000年における食品製造業の国内総産出額は27兆5,295億円、1999年の27兆4,457億円と比較すると838億円(増加率で0.3%)の増加となった。食品製造業の産出額は95年以降の消費低迷下にあっても微増を続け、2000年代入り後、堅調な需要を持続している。食品製造業の産出額が微増を続ける主な要因は、酒類、飲料の堅調な需要の伸びが産業全体を押し上げる働きをしていることによる。
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