平成18年度農林水産省補助「ユビキタス食の安全・安心システム開発事業」の一環として実施した調査の報告書のひとつ「トレーサビリティシステム導入事例集第3集」をpdf形式のファイルにて公開します。
トレーサビリティシステムについての理解を深めていただくため、また食品事業者様における導入検討のため、お役立ていただければ幸いです。
(1ファイルあたり2〜3MB程度です)
ダウンロードしてご覧いただくのが困難な場合、冊子(A4、カラー印刷、136ページの冊子)を、ご提供できます。こちらのページをご覧下さい。
「序」より
日本の食品分野において「トレーサビリティ」という概念が注目されるようになったのは、平成13年(2001年)のことである。この年、国内で最初のBSE罹患牛が発見された。またさまざまな品目において、産地等の表示の偽装が明るみにでた。マスメディアでそれらの問題が報道されるに伴い、事件の対象となった品目全般の消費が落ち込んだ。食品の安全を確保する努力とともに、消費者や取引先の信頼を確保する必要性が認識された。
そこで注目され期待されたのが「トレーサビリティ」という概念であり、その概念を実現する仕組みである「トレーサビリティシステム」であった。日本では、牛と国産牛肉を除き、一定の水準のトレーサビリティを義務づける法律はない。平成15年に改正された食品衛生法は、事業者に食品の仕入先や販売先等の記録の作成と保管を求めているが(同法第3条第2項)、いわゆる「努力義務」に留まっている。
トレーサビリティには程度がある。事業者自身の判断に委ねられていることが多いのである。
品目別ガイドラインと並び、事業者が判断するために有力な資料が、実際の導入事例であろう。それも、開発実証プロジェクトや、義務づけられて実施するものではなく、現実に実施され、効果を挙げているような事例である。
私たちは、国庫補助による調査の1つとして、参考になると思われる導入事例を取材し、平成16年度に「トレーサビリティシステム導入事例集」を発行した。さらに平成17年度にも、「トレーサビリティシステム導入事例集第2集」を刊行した。そして平成18年度、私たちが本書「トレーサビリティシステム導入事例集 第3集」で目指したことは、その品目において「どの程度のトレーサビリティを求めるべきか」を考える素材を提供することである。その品目のフードチェーンを構成する段階ごとに、代表的と思える導入事例を取材して紹介し、実態を明らかににするとともに、さらにトレーサビリティを向上させる方策についての考察を加えた。
本書は、いささか長い報告書になったが、読みやすく記述するよう心がけたつもりである。食品のトレーサビリティ向上に関心を持つ、食品の生産・加工・流通に関わる事業者や団体の皆様、さらには関心の高い消費者や行政の皆様が、それぞれの品目分野において求められるべきトレーサビリティの程度について検討する素材にしていただければ幸いである。
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