2010年1月29日(金)に豊橋サイエンスコアで開催された「食農連携のための現地コーディネーター研修(豊橋)」は、30名近くの方々にご参加いただき、盛況に終わりました。
研修の参加者は、行政、大学、連携支援機関、コンサルタントなど、地域の中心となりコーディネート業務を進めている方々や、食農連携の事業を推進している企業の方々で、大変中身の濃い研修となりました。
講義では、株式会社キースタッフの鳥巣研二氏をお招きし、農業者と食品メーカーのマッチングのためにコーディネーターが持つべき視点について事例を踏まえながら大変わかりやすくお話いただきました。
鳥巣講師は、地元の業者が地元の食材を使えるようになることが「農商工連携」ではないかという観点から、地域活性化のためには地域の素材を活用した一次加工が重要であり、一次加工が農業者と食品産業を結ぶ大切なポイントになること、今後は直売所ビジネスが地域において重要な地位を占めていくことや、今までの流通のしくみにとらわれずに自分の力で顧客までたどり着くようなしくみを持つことの必要性などを話されました。
講義の最後には、「連携というのは、農家も儲かる、加工業者も儲かる、販売業者も儲かる、これを食べる愛知県の人たちも幸せになる、みんなが幸せになり、みんなが勝ち組になるのが連携である。昔あった地域で取れたものを地域で加工して売るという経済循環を取り戻し、地域を活性化していくことが、私の考える農商工連携である」という考えを述べられ、そのためにはコーディネーターが起爆剤となり、地域の人材をどれだけ育てていけるかにかかっているという話をされました。
意見交換会は、食農産業ラスター推進協議会(豊橋市)事務局長の中野 和久氏の司会により、進められました。
意見交換に先立ち、食農産業ラスター推進協議会(豊橋市)の取組み事例として、「豊橋農産物のペースト化」の話を株式会社TMLとよはしの立石氏より、「次郎柿、田原産アールスメロンの海外展開を見据えたブランド向上」の話を株式会社サイエンス・クリエイトの都築氏よりいただきました。最初にこの二事例に対し講師の鳥巣氏からアドバイスをいただいた後、参加者から自由な形での意見や質問を述べる時間となりました。
過疎地域の直売所づくりの質問に対しては、鳥巣氏からは高齢化が進む中、過疎地域で暮らす高齢者を対象にしたような商品のラインナップをし、大型直売所との住み分けをし、地域住民のための生活利便性の高い直売所をつくっていくべきではないかというアドバイスがありました。また、地域農産物のブランド化のためには、東京へ売り込むか地産地消のどちらが有効かという質問に対しては、地元が認めてくれて初めて本当の「ブランド」になるのではないかというアドバイスがありました。その他、長野県駒ヶ根市から参加された胡麻の製造販売業をされている方の取組みや、静岡県三島市のご当地コロッケ「三島コロッケ」の取組みについてなど、日頃から地域のコーディネート業務に携わる方々の意見交換の場となりました。
鳥巣講師のブログに研修の様子をご紹介いただきました。
http://keystaff.seesaa.net/article/139730545.html