第2回目の研修では、講師に株式会社ブランド総合研究所の田中章雄氏をお招きし、農商工等連携における地域ブランドの構築とは何か、地域資源を活用したブランド構築、ブランドの管理、ブランドコミュニケーションについてのポイントをお伺いしました。さらに、地域資源を活用したブランド構築のためのシナリオ作成についてのグループワークによる実践を行いました。
講義では、講師より、農商工等連携における地域ブランドの構築について、地域ブランドとは何か、ブランドコミュニケーション、ブランド管理の3つの柱についての話をお伺いしました。
地域ブランドについては、単に地域の名前を使って何かを商品化するだけでなく、その地域の商品や観光、地域全体のイメージをつくることによって、地域全体を戦略的にブランド化していくことが大切であるといった話がありました。地域ブランド商品は、95%の人が買いたいと思わなくても、5%の人が絶対に買いたいというものをつくるべきである、大手メーカーと地域ブランドの商品開発の方法は全く異なるといったことを、バナナのたたき売りを例に説明されました。さらに、ももいちごやおみたまプリンなどの先進事例を挙げて、商品そのものに付加価値をつけていくことがブランド化をしていく上で大切であることを述べられました。
ブランドコミュニケーションという観点からは、ブランドの魅力を伝える「3・3・3の法則」の話をされ、目にとまる(3秒)→手にとる(30秒)→購入する(3分以上)の3ステップを踏んで商品が消費者の手に届くことから、それぞれのステップに応じた着眼すべき点について話をされました。
さらに地域ブランドを扱う上でのポイントとして、地域資源は農産品だけではなく広い視野で見ていくこと、地域ブランド商品は誰もやっていないことをやらなければ成功しないといった点を話されました。また、一事業者が商品開発を行うだけでは他の資源との組み合わせや他者との協力ができないなど広がりに欠けるため、今後コーディネーターのコーディネート力が大いに期待されるといった点が述べられました。
実践研修では、ブランドが持続的な発展をしていくためには、どのようなことに留意していけばいいのかを考える機会として、グループワーク形式でシナリオ作成の演習を行いました。講師より、地域ブランドの構築において、何を行ったか(アウトプット)ではなく、それによってどのような効果があったか(アウトカム)につながらなければ先には進めないといった解説を受けた後、各グループ、グループ内の参加者より提供された事例をもとに、アウトプット、アウトカムの表を埋める作業を行い、アウトカム(効果)を目的としたシナリオづくりについての検討を行いました。
グループワークを行うにあたり、各グループとも、グループ内の参加者より、地域全体のシナリオを考えていく上での参考になる事例をご提供いただき、各グループが各々のテーマの特徴をもとに、地域ブランドづくりのポイントを考えていただくことができたようです。
グループ | テーマ | 対象地域 |
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A | 福岡県の豊前棚田ゆず振興協議会のゆず関連商品のプロデュース | 福岡県豊前市 |
B | 胎内ブランドづくりをつうじた胎内地域の活性化 | 新潟県胎内市 |
C | もくずがにを活用した地域ブランド商品の開発 | 茨城県潮来市 |
D | 松江市内商店街の縁結びにちなんだイメージづくり | 島根県松江市 |
E | 長岡野菜を活用した加工食品開発 | 新潟県長岡市 |
F | 石巻産カタクチイワシを活用したアンチョビ、バーニャカウダソース、ドレッシングの開発 | 宮城県 |
事例提供者してくださった皆さま、ありがとうございます。